（粉瘤、脂肪腫、線維腫など）
は形成外科で
皮膚の下に触れる膨らみやしこり、皮膚に出っ張るように触れるイボ。
もともと本来なかったものが気付いたらできていて、ゆっくりですが大きくなってくるものが多いです。このような増大傾向を示すできものを腫瘍（しゅよう）といい、大小の硬いものから柔らかいものまで様々で、中には痛みや感染を伴うものなど治療を急ぐものもあります。
局所的な増大のみでは生命に関わることは基本的になく、良性腫瘍と呼ばれています。浸潤や転移による遠隔増大は、主要臓器の機能不全をもたらし命に関わりますので、悪性腫瘍（癌、肉腫、キャンサーなど）と呼ばれています。
しかし、見た目だけでははっきりしないことが多く、病理検査に出すことで良性悪性、実際の病態などを確定診断していきます。また、大きくなること自体は圧迫、圧痛、見た目の問題など不都合なことがおきますので、当院では、気になるようなら小さいうちでの積極的な治療を推奨しています。
それでは、皮下と皮膚とのできものに大きく分けて説明していきます。
皮下腫瘍
粉瘤（表皮嚢腫、アテローム、アテローマ）
皮下腫瘍のご相談で、ダントツに多いのが粉瘤です。皮膚が袋状に皮膚の下に潜り込んでいる状態で、その中に垢や皮脂がたまり徐々に大きくなります。一度袋が形成されると通常は自然には治りませんので、手術でこの袋ごと取る必要があります。
袋は皮膚と連続した構造で、皮膚の膨らみの中央には起点となる開口部が黒い点として見られることが多いです。ここから独特な匂いを発する汁や垢のようなものが出てくるようなら粉瘤が疑われます。
治療は黒い点を含むように一部皮膚を切除します。この皮膚と連続するように袋が存在しますので、これを丁寧に剥がすように除去していき、最後に縫合して終わりです。
傷の大きさは膨らみの幅より少し長いくらいですが、小さな粉瘤の場合は、より傷跡が小さく済むヘソ抜き法（くりぬき法）を選択することがあります。
炎症性粉瘤
なんらかの原因で粉瘤が炎症を起こしたもので、実はこの粉瘤で来院される方の３割近くがこの炎症性粉瘤を呈しています。痛み、圧痛、赤み、排膿といった症状が伴い、半ば仕方なく治療に望むパターンが多いのです。
感染によるものもありますが、実は粉瘤の袋が一部破れ、中に溜まった垢が漏れ出すことで炎症が波及する無菌性の炎症のことがほとんどです。そのためただの炎症であれば、抗生剤は感染悪化の予防にはなりますが、症状を長引かせるだけで、根本的にはよくなりません。
治療は、軽度炎症であれば、本来の粉瘤摘出術を行っていきます。軽度の赤みや痛みでは、袋が一部破綻しているだけで概ねしっかりとした粉瘤を形成しているため、袋ごと取ることは可能です。
明らかに全体に炎症が及んでいたり、張りや硬さがないものは、袋がはっきりしないため腫瘍を取りきることができません。この場合はとりあえず膿だけを出すことが懸命で、これを切開排膿と言います。麻酔をして皮膚を一部切開し、中の膿を押し出します。さらに傷の中を洗い、軟膏のついたガーゼを中に充填することで、可能な限り傷表面を清潔にしていきます。
通常本来の皮膚の袋は残っていますので数ヶ月以降でまた膨らんできます。そのような場合は、早めの炎症のない状態での手術を考慮するようにお願いしています。
多発性毛包嚢腫（多発性脂腺嚢腫）
1cm以内の比較的小さいしこりとして触れ、多発することが特徴です。脂腺開口部にでき、多発性脂腺嚢腫とも呼ばれます。全身にできる可能性はありますが、脇にできたり、女性の陰唇にできることが多く粉瘤と間違われることもしばしばあります。一つ一つ切除をしていきます。
脂肪腫
脂肪腫は通常皮膜と呼ばれる膜に包まれ、その中に成熟した脂肪細胞が満たしています。本来ある皮下脂肪と同じ脂肪組織なのですが、見た目、形状が独特で、正常な脂肪とは区別がつきやすいです。
しかし同じ脂肪腫でも、線維脂肪腫と呼ばれる脂肪塊の中に膠原線維が多く見られるものがあります。首の後ろやその近くに比較的多く見られ、癒着傾向やまわりの脂肪との境界がはっきりしないこともあり、切除がやや困難となります。同じようなもので血管脂肪腫というやや硬く比較的小型の脂肪腫もあります。
治療は、手術による切除摘出です。傷跡は皮膜のある通常の脂肪腫であれば、膨らみの幅の半分程度の長さで取れます。
取れたものが大きい場合は、それなりのスペースができているため、ここには血や浸出液が溜まりやすくなっています。そのためドレーンチューブと呼ばれる排液用の管を傷の端に留置して、血腫を予防します。ドレーンを取るため翌日再診となりますが、処置での痛みはありませんのでご安心ください。
石灰化上皮腫
20歳以下の若年者に多く、皮下腫瘍の中でも比較的遭遇することが多い、毛穴の底にある、毛を作り出す細胞由来の良性腫瘍です。皮膚の上からでも、硬くゴツゴツした感じで触れることができ、女性の顔や上肢に多く、子供にもよく見られる疾患です。
治療は手術で、変性した皮膚や皮膜も含め、完全に病変部を摘出します。
外骨腫
骨と連続した骨性のできものを外骨腫と呼んでいます。症状が乏しく、額にできた１cmほどの膨らみに気付いて相談に来る方が多いです。
治療は手術で、このでっぱりを取っていきます。傷は外骨腫の膨らみと同じ幅で、なるべく髪の毛の中や生え際に作ります。医療用のノミやヤスリで骨の形を整えながら削り取っていきます。
では次に皮膚腫瘍を説明していきます。
皮膚腫瘍
軟性線維腫（アクロコルドン、スキンタッグ）
皮膚との付着部は細く、滴のように突出した有形状としてあり、肌色や黒褐色の柔らかいできものです。
原因ははっきりとしませんが、紫外線や摩擦、皮膚の老化などが関係しているとされ、脇や首の前に数ミリのものが多発するものを、アクロコルドン、スキンタッグと呼んでいます。症状もなく人目に触れないこともあってか、背中やお尻などに大きく垂れ下がるようになってから来院する方も多いです。
治療は、保険で行う場合は手術による腫瘍切除です。液体窒素による冷凍凝固術は効果が不確実なため行っていません。また、自費診療にはなりますが、レーザーによる治療もご案内可能です。（詳しくはこちら）
脂漏性角化症（老人性疣贅、ゼボケラ）
茶褐色や黒色で、盛り上がるようにできたものです。日光による皮膚の老化、変性が原因で、顔や頭部、前腕などの露出部に多く見られます。
治療は、保険で行う場合は手術による腫瘍切除です。液体窒素による冷凍凝固術は効果が不確実なため行っていません。また典型的なものであればいいのですが、見た目が通常と違う場合も多々あります。もし皮膚癌が疑われるようなら、検査を兼ねての切除術を勧めています。また、炭酸ガスレーザーを使った治療も有効ですが、こちらは自費診療となります。（詳しくはこちら）
稗粒腫（はいりゅうしゅ、ひりゅうしゅ）
下まぶたに多いのですが、おでこ、上まぶた、頬などの目周りにもよく見られる小さな白いつぶつぶです。症状はないのですが、お化粧でも隠れにくく、見た目の問題で治療する方も多いです。
毛穴の奥の毛包部分にケラチンが詰まっているのですが、原因ははっきりしません。
治療は、針先で小さな穴を開け、圧出することで内容物を出します。点状のかさぶたができますが、数日で取れてキレイに治ります。
結局みなさんが求めることは、キレイに早く治したいんじゃないでしょうか。そして症状がないのに日々の忙しい中で手術となると、大変そうでなかなか足が向かない。このあたりが払拭できれば、また治療に対する考えが変わるかも。
大きくなっているのなら早めな治療の開始を。
万が一を考えて、病理検査ありきの積極的な治療を。
当日予約からの治療も可能。最小限の通院で負担の少ない治療を。
確かに良性の皮膚皮下腫瘍では、治療を先延ばしにできるものが多いですが、診察させてもらうことで、あえて今治療することのメリットをお伝えできれば幸いです。
皮膚腫瘍は、見た目だけの目的で除去を希望する方も多い疾患です。その場合は自費治療とはなりますが、麻酔をした後にレーザー焼灼やハサミによる切離法、電気溶解法を選択していきます。まとめて取ることもでき、‘おまとめセット価格’がありますので、一度に多く取るときは、結果的にはリーズナブルになるかと思います。
保険も自費も、レーザーから手術まで対応。そんなあざみ野駅前形成外科に是非ご相談いただければと思います。
