生理現象の一つとされるワキの特有な臭い。腋臭症と呼ばれ、欧米人では多少の臭いのあるのが当たり前で気にされることが少ないのですが、無臭の方が多い日本人ではこの臭いは敬遠されがちです。
臭いはどこから
この汗腺が多く認められる所として、外耳道、わき、乳輪周囲、デリケートゾーンがあげられます。
臭いのグレード分類とその意義
治療前に、脇にガーゼを一定時間挟んでいただきそのガーゼを嗅ぐことで、臭いの程度を決めます。
gread0 | まったく臭わない |
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gread1 | ガーゼをよく嗅げばわかる |
gread2 | ガーゼを鼻に近づければわかる |
gread3 | ガーゼを手に持っただけでわかる |
gread4 | 本人が近づいただけでわかる |
レベル分けすることは、経過を見るときの指標や手術を検討する際の判断材料に役立ちます。
しかし、もっとも有意義なことは、グレード0(臭わない)の方を見分けることです。体臭レベルで本来のワキガ臭ではなかったり、自分は臭うんじゃないかという不安(自己臭恐怖症)、黄毛菌症と言われるワキ毛についた細菌がついたことが原因のものなど、治療を必要としないか、治療法が異なる方を見分けていきます。
手術による治療
物理的に臭いの素となるアポクリン汗腺を除去する方法で、剪除法(皮弁法)と呼ばれる治療のみが保険適応で可能です。局所麻酔の日帰り手術で、80分ほどで終わる治療です。臭いのグレード分類で、グレード3〜4では第一選択です。
傷について
脇をガーゼで擦って嗅ぐと、どこが一番臭うかがある程度わかります。中心から体幹側、中心から背中側など、一番臭うところは個人差が意外とあり、同じ個人であれば臭う位置は左右対象で差異はほとんどないです。臭いの強さは左右差があることがあります。また一番強く臭うところがあり、ここを中心に周囲にいくほど臭いが弱くなります。
手術直前に一番臭いのあるところや臭いの範囲を同定します。皮膚切開をした近くが一番削りやすくなるため、臭いの強いところを削りやすいようにした傷の位置にしていきます。脇のしわに沿うように3㎝ほどの傷を作りますが、通常は1本の傷で済ませます。体の大きい男性などでは傷を2本にすることがあります。
治療内容
飴色の大きめなアポクリン汗腺は肉眼で見ることができ、実際にその分布も見ることができます。この皮膚の裏に貼り付いたアポクリン汗腺を削ぐように取り除いていきます。次に傷の中に出血や浸出液がたまらないように、廃液を促すドレーンと呼ばれるものを留置し、血腫予防のための特殊な縫い方をして終了です。最後に脇全体を圧迫固定して帰宅となります。
術後について
翌日再診となります。ドレーンを抜去し、その後も圧迫固定を続けていきます。固定中は肩が大きく挙げられませんので、1週間は安静が保てるようにしてください。5〜7日後に圧迫固定を解除します。この頃から傷を含む全身シャワーが可能となります。術後10日で抜糸をして治療は終了です。
ボツリヌス菌治療について(保険適応外)
暑い場所や人前に出て緊張するといったときは、自分の意思に関係なくして汗をかくものす。これは脳からの命令が自律神経を伝わって起こる現象です。この神経から汗の腺への命令を遮断すれば汗はかきづらくなります。臭いの原因アポクリン汗腺も同じです。
ボツリヌス菌毒素は物理的に神経や筋肉などに不可逆なダメージを与えているわけではありませんので、神経や筋肉は本来の機能は失ってはいないのですが、命令が伝わらないことで結果的に機能していない状態を維持します。
また伝達機構が徐々に回復していくことで、おおむね半年ほどで機能はもとの状態にもどります。
ボトックス治療でより詳しく説明しています。
各費用
両脇ボトックス | |
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両脇ヒュートックス |
• 耳垢が湿っている
• 家族にワキガの人がいる
• 白い服の脇が黄ばんでいる
というのが当てはまって悩んでいる方も多いのではないでしょうか。
腋臭症は、アポクリン汗腺からの汗と皮脂に細菌が合わさってできる特有な臭いです。ワキ毛、毛穴は細菌の隠れ家になりますので、脇を清潔に保つという意味で、間接的ではありますが脱毛が有効な場合があります。