陥没乳頭(かんぼつにゅうとう)とは、乳頭が突出していない状態で、乳首が簡単に出るが突出が維持されないものから、全く出ないといった症状まで様々です。
ご相談としては、「外見の違いを正常な状態に治したい」になるかと思いますが、整容面だけの治療では自費扱いとなります。しかし、機能的な障害が疑われれば保険適応が可能です。
「乳頭が平らになっている」「溝にゴミが溜まりやすい」といった理由は、別段機能的には問題のないことなのです。しかし、授乳時の不都合が予想される(条件として、明らかな陥没乳頭で40歳未満の女性)、陥没乳頭が原因で乳輪下膿瘍を繰り返す、などでは機能的に問題があるという解釈で保険治療を適応させることができます。
陥没乳頭は、乳頭(乳首)の内部にある結合組織が引き込むように作用することで、乳首全体が奥に引き込まれた状態にあります。
指で簡単に出てくるものから、全く出てこない、乳頭が二つに分かれたような形状など程度は様々です。
治療の趣旨としては、正常な授乳ができることを想定していますので、乳首が突出した形態の維持とともに、乳腺からミルクが運ばれるための乳管と呼ばれる組織を温存する必要があります。そのため、やたらに乳首の中を分断するような治療は避けなければならず、術式の選択には注意が必要です。
症状の分類とその治療法
軽度陥没乳頭 刺激で容易に出てくる
吸引気を使い乳首の突出した状態を維持させ矯正していきます。
数ヶ月の強制でも改善しない場合は、外科的治療を考慮します。
中等度陥没乳頭 つまみ出すなど強い外力で出るが、突出が維持しない
乳頭の付け根部分に特殊な切開縫合を加え、付け根の全周の距離を短縮することで乳首を軽く締め上げていきます。その際に、切開部分から乳管を傷つけないように注意しながら、乳頭内の索状物(乳首を引き込もうとする組織)のつっぱりを鈍的に解除します。
重度陥没乳頭 全く出すことができない
乳頭を一度分断して索状物を除去して再度縫い合わせます。乳頭の付け根は特殊な切開縫合をすることで乳首を締め上げるように縫い、再陥入を予防していきます。(酒井Ⅰ法)
正常な授乳ができない、またはできないことが予想される場合は、保険適応による治療の対象です。整容面のみの問題では自費診療になります。(自費診療はこちら)
常に人に見られるところではないけど、胸は女性の象徴の一つ、やはり人と違うのはストレスになりますね。また授乳をする時に不都合があると困るけど、そのときには手術はできないので、将来が心配な方は、今のうちに治療を前向きに考えるべきかもしれません。
突出した体の部分では、その付け根部分を手術するということは、とても慎重にしていかなければなりません。血流を損なうと、その先の部分全体がダメになってしまうからです。陥没乳頭も同じで、付け根近くの皮膚やその中をやたらに扱うと血行不全が起きないとも限りません。
乳輪乳頭では傷跡は比較的キレイに治りますが、やはり傷跡、血流を考えると、なるべく少ない侵襲での治療が望ましいです。当院では安全に、そして効果的な治療を実行しています。
乳輪乳頭では傷跡は比較的キレイに治りますが、やはり傷跡、血流を考えると、なるべく少ない侵襲での治療が望ましいです。当院では安全に、そして効果的な治療を実行しています。