快活な印象も与えます
まぶたが開けづらい症状を眼瞼下垂症と呼びますが、徐々に進行するため、視野の狭いことに慣れてくる、代償性に無意識にまゆ毛を挙げて開瞼(かいけん)を補助するなどして、初期では目が開けづらいという自覚が乏しいことが多いです。
以下が思いあたれば、眼瞼下垂症かもしれません。
● まぶたが重く感じる
● 視野にまぶたの影が入る
● まゆ毛を挙げてものを見る
● 肩こりや頭痛がある
● 目もとが疲れた印象
● 目の大きさが違う
● 眠たそうな目
目が開ききってない
視野が狭い
おでこに皺を寄せてものを見る
しためづかいでものを見る
目の上の凹みが目立つ
目の開きに左右差がある
二重幅が広く見える
(実際の症状) ▶ 目が開ききってない
(主観的症状) ⚫ 視野にまぶたの影が入る
(実際の症状) ▶ 視野が狭い
(主観的症状) ⚫ まゆ毛を挙げてものを見る
(実際の症状) ▶ おでこに皺を寄せてものを見る
(主観的症状) ⚫ 肩こりや頭痛がある
(実際の症状) ▶ しためづかいでものを見る
(主観的症状) ⚫ 目もとが疲れた印象
(実際の症状) ▶ 目の上の凹みが目立つ
(主観的症状) ⚫ 目の大きさが違う
(実際の症状) ▶ 目の開きに左右差がある
(主観的症状) ⚫ 眠たそうな目
(実際の症状) ▶ 二重幅が広く見える
当院では、診断補助として、まゆ毛を押さえることで、おでこの力を借りずに自然な状態でまぶたを挙上してもらいます。通常は8割ほどが見えている黒目の見え方が、6割以下であるようなら眼瞼下垂症としています。
また加齢によるところの大きい後天性眼瞼下垂症では、50歳前後以上の方を保険治療の対象としています。あくまでも視野の問題が伴う疾患のため、生活に支障がある前提で保険治療するのであって、病的ではない若い方では、自費診療の範囲で治療を承ります。
眼瞼下垂症の原因と治療
まぶたを引きあげる腱膜のゆるみ
まぶたを持ち上げるための筋肉を、眼瞼挙筋と呼んでいます。また、まぶたのまつ毛付近には、瞼板と呼ばれる瞼縁のフレームの役割をするものがあります。この二つは直接つながっているのではなく、筋肉から派生する挙筋腱膜と呼ばれる膜で連続しています。例えるなら、ロールカーテンの巻き上げる部分が筋肉で、一番下に付く硬いフレームは瞼板、布の部分が腱膜です。
この腱膜が延びてしまっていたり、腱膜と瞼板の付着が緩んでいたりと、力がダイレクトに伝わらず、まぶたが全開になりません。これを膜性眼瞼下垂症(加齢性眼瞼下垂症)と呼び、ほとんどの後天性眼瞼下垂症は、このルーズになった腱膜や付着部の緩みが原因です。
挙筋腱膜前転法
眼球の上下には、眼窩脂肪と呼ばれる脂肪があります。この脂肪が萎縮または奥に引き込まれると、眉の下に凹みを呈したサンケンアイ(sunken eyes)の状態になります。眼窩脂肪を包む眼窩隔膜が上方に転移した挙筋腱膜に引き込まれていますので、ここを剥がし、脂肪が下に降りてくるように細工していきます。満たすだけの脂肪があれば凹みは改善され、さらに実は隔膜と腱膜を剥がすだけでも眼瞼下垂は多少なり改善がみられます。
次に挙筋腱膜を同定したらルーズな腱膜を短縮させるように、数カ所で瞼板に逢着していきます。途中何度か座位となり、重力の影響を加味した調整をしていきます。
過剰な皮膚を切除し、皮膚を丁寧に縫い合わせた後は、20分ほど目もとを冷やします。直後に十分冷やすことが腫れや内出血の軽減になりますので、このクーリングはとても大事になってきます。
皮膚のたるみ
加齢によりまぶたの皮膚がたるみ、視界が妨げられた状態です。特にまぶたの中央から外側にかけての皮膚のたるみとしてみられることが多く、まつ毛に乗っかるように皮膚がだぶついている状態から、眼球を覆うかのように下垂することもあります。過剰な皮膚を適量取るだけで眼瞼下垂の改善が見られる場合は、皮膚のみの処置で対応していきます。
重瞼切開(じゅうけんせっかい)
二重のラインの位置で余剰皮膚を切除しスッキリとしたまぶたに整えていきます。傷跡は二重のラインに一致しますので、ほとんどわからないレベルになりますが、皮膚の厚い方では、目を開けた時の皮膚の折り返しが不自然になる可能性があります。
ラインをはっきりさせたい、外側の方まで皮膚を十分取りたい場合などに選択します。
眉毛下切開術(びもうかせっかい)
まゆ毛の下縁に傷を作る方法です。皮膚とまゆ毛の境に傷がくるため、比較的傷は目立ちませんが見える場所に傷ができます。
二重は本来のままですので、皮膚の質感の違いや折り返しが不自然といったことはなく、自然な仕上がりになります。
その他
生まれつきまぶたを持ち上げる眼瞼挙筋の働きが弱い、先天性眼瞼下垂症と呼ばれるものがあります。他に重症筋無力症や眼瞼痙攣なども眼瞼下垂の原因として挙げられます。




もちろん純粋な加齢に伴う変性もありますので、何かを意識的に過ごせば予防できるというものでもないと考えます。
学会で、「腱膜前転法は何回できますか」という質疑に、「理論上何度でもできるし、過去に5回行った方もいます」とおっしゃっていた先生がいました。そもそも5回はやりすぎでしょ、とは思いましたが、そのくらい眼瞼下垂症は日々進行していくし、なりやすい人はいるのかな、という印象です。
単に目を大きく見せたいために、目が開くような手術をしたいというご相談があります。このような場合は整容面の治療になりますので、眼瞼下垂と同じような治療にはなりますが、保険ではなく、自費診療となります。(詳しくはこちら)